倦怠期に陥ってしまったAPS製Black Hornetちゃんを修理&カスタムして蜜月関係に戻ろうプロジェクトPart2です。前回はこちら。
今回は「初弾は問題ないが、ブローバックが異常に弱く、次弾が装填されない問題」を治していきます。それでは、参りましょうー!
まずはテイクダウン
まずはメンテナンスなどでも行う範囲で通常分解、テイクダウンを行います。東京マルイのグロックと構造は同じなので、わざわざ書くほどの事でもないですが、一応書いておくと……
- マガジンを抜く
- スライドを引き、内部のハンマーを起こす
- スライドロックレバーを両側から押さえつける
- スライドを前方方向に抜き取る
- リコイルスプリング/ガイドを、バネを縮めつつ抜く
- バレルをスライド前方方向にズラしてから斜めにして後方にむけて抜く
という手順です。ほぼ全てのハンドガンが似たような手順なので、そんなに難しく考える必要はないかと思います。
注意点はグロックは内蔵式ハンマーなので、分解前にハンマーを起こしておく必要がある点だけです。
更に分解
今回はシリンダー部分の破損確認が目的なので、シリンダー部分の分解をしていきます。まずは以下図のネジを外します。
すると、スライド上部(ネジを外したのと反対側)のリヤサイトの固定が外れるので、リヤサイトを外します。同時にセミ/フル切り替えを行っているパーツも取り外します。
続いて今回の本命であるシリンダー部分を取り出します。単純に斜めに引き出すだけです。その際にスプリングが紛失しないように注意してください。
取り出したシリンダーユニットから、シリンダーを取り外します。下図のネジと、左右反対側のネジの計2本を取り外してください。するとシリンダーを前方にスライドさせることで取り外せます。個体差はあるでしょうが、私の持っているグロックでは少々硬めです。
シリンダーの状況確認
シリンダーが取り出せました。観察してみるも、特に気密にかかわる部分で破損しているようには見えません。強いて言うならスプリングをひっかける部分が少し欠けているけれど、気密には関係ない部分なのでスルーします。「うーん、当初の想定と違う……」
以前に同様の症状(初弾は発射できるが、ブローバックが異常に弱く次弾が装填されない)が発現した際は、このシリンダー部が明らかに破損していました。
具体的にはシリンダー上部に、パックリと大きなヒビが入っていました。(下図)
シリンダーとマガジンの接触不足説
となると他の理由でガス圧不足が発生→ブローバック不足が発生→ブローバック不足により次弾が装填されない、という事が起きている事になります。
前回の可能性検証時にハンマーや、マガジン保持位置などは確認しているため、他の理由となると……マガジンのガスルートパッキンとシリンダーの接触不良?
もしそうだとすると、マガジンによって時々問題なく作動する事があったのも納得できます。目視だとそんなに差は無くとも、マガジンごとにガスルートパッキンに1mm以下の個体差があってもおかしくありません。
それでなくとも、マガジンのガスルートパッキンはゴム製っぽいので、経年劣化でヘタってしまった可能性もあり得ます。ガスルートパッキンのパーツを買って交換してみるのも手ですが、まずは手元にあるもので何とかしてみます。
組み上げ中に違和感
ここまでは、スライド上端側にアルミテープを貼って、シリンダー部分を少し嵩上げする方向で考えていました。しかし、シリンダーを組み上げ中に違和感に気づきます。
「あれ? シリンダー内部がグリス切れしてる気がする」
シリンダー組み上げを一旦中断し、手動でシリンダーとピストンを前後動作させてみます。すると、ピストンカップの8割方の箇所はシリンダー内壁に密着しているのに、きちんと密着できていない箇所がありました。
これはもしや……ということで、ピストンカップを取り出します。ピストンカップは、単純に引っ張るだけで抜けます。そして、外周部にシリコングリスを塗りたくります。気密をとる目的なので、0.5mmくらいのちょっと厚めに。
軽く手動で前後動作させて慣らした後、シリンダー部分を分解と逆手順で組み上げます。
スライドを組み上げ
基本的に分解時と逆手順ですが、注意する箇所が幾つかあります。まずはシリンダー横のバネ。ブローバック時にシリンダーを元の位置に戻す役目を担っていますが、これがちょっと入れづらいです。
ここはシリンダーを先にある程度入れて、斜めにした状態でバネとスプリングガイドを差し込むとスムーズに行きます。
続いてセミ/フル切り替えセレクターです。こちらは上下の向きがありますので注意してください。上画像の下側に出っ張りがあると思いますが、その部分がスライド上面(リヤサイト側)になるよう設置します。
セミ/フル切り替えセレクターを設置後、バネの付いてる部品を設置します。すると、バネのテンションと、先程の出っ張りの効果で、セミ/フル切り替えセレクターがスライドに固定されます。
最後に上からセミ/フル切り替え機構を固定するパーツを設置しますが、こちらは上画像左上の出っ張りを下画像の穴に差し込む形で、斜めに挿入します。
とまぁ、シリンダー周りはこんな感じです。
ついでに気密アップ
分解ついでにインナーバレルとチャンバーの気密も上げておきます。ホームセンター等で売っているシールテープを1巻きほど巻き付けます。これにより無駄なガスが漏れる箇所が減り動作の安定化に繋がることが期待できます。ガスガン・電動ガン問わず使える手法なので、完全分解した際にやっておくと良いでしょう。若干ですが初速が上がる可能性がありますので、組み立て後に弾速測定はお忘れなく!
↑が私の使っているシールテープと同じものです。まぁ送料やら何やらかかるので、近くのホームセンターで買ってくるのがオススメです。
本来は水道などの配管修理に使う物なので、家の水道の水漏れなんかにも使えます。これなら嫁に「また無駄な物買って!!」と怒られる心配もありませんね。
……ぇ? 嫁がどこにいるんだって?
やだなぁ、私の隣にいるでしょう? 見えないんですか?
ぇ? 見えない?
あ、はい。
そうですね……(´・ω・`)
いざ試射
元通り組み上げましたので、修理できたか試射してみましょう。ガス漏れしていないマガジンを持ってきて、中にCO2カートリッジを挿入。銀色のネジ部を緩めた状態で金色のネジ部を締めていきます。
ブシャアアアアアア!!
……あれ? このマガジンはガス漏れしていないマガジンだったはずなのだけど(困惑
1本120円のCO2カートリッジが御臨終なされました。
気を取り直して、別のマガジンを持ってきて同様の手順でCO2カートリッジを挿入します。
よしよし、今回はちゃんと入ったな。と思ったのも束の間、静かな部屋に響き渡る微かな音。
シューーーーー
んん!? お前もか!?
耳を近づけてみるとガスルートパッキンの箇所からガス漏れしている様子。なんてこった、前回チェック時には平気だった全マガジンが、ガス漏れしているぞ……
とりあえず微弱にガス漏れしているとはいえ、射撃可能な2本目のマガジンで試射。
甲高い音が鳴り響き、軽くも高速なブローバックが腕に伝わります。連続でトリガーを引くと、引いた数だけBB弾も発射されました。修理完了のようです。
「結局グリス切れかーーーい!!」
というわけで、本体の不調はグリスアップで治ったので、残すはマガジン修理とトリガー交換、オプション目標でセミ/フル切り替え方式の変更となりました。次回に続きます。