自分の絵の強みを知る方法:ジョハリの窓を用いた心理学的アプローチについて

こんにちは、連日お仕事が大忙しな社畜美少女エルフこと子猫2000です。最近、友人に「猫キャラなのか、美少女エルフなのか、キャラをハッキリせい!」と突っ込まれました。正解はどちらもです。シュレディンガーの美少女エルフであり、シュレディンガーの子猫2000なのです。

はい、冒頭からどこに向かっているのか迷子ですが、最近自分の絵柄について色々と考えていました。主観では絵柄が定まっておらず割と絵柄が迷子気味だと思うのですが、他人から見ると一発で私の絵だと分かるそうなので、やっぱり絵柄というのは自然と染み出す類の物なんだろうなー、などと思っております。

そんな自分の絵に対する考察の一環で、「じゃあ自分の絵の強みって何だろう?」となりました。幸いなことに(?)心理学やら思考整理法やらが昔から好きな事もあり、自分の中で答えを出すのには、それほど時間がかからなかったのですが、ふと考えてみたら、「自分が絵を描く意味ってあるんだろうか……?」と悩んでいるお絵描き民が世の中にあふれていることに気づきました。この記事はそんな方達のお役に立てば良いなーという思いで書いています。

ジョハリの窓とは?

ジョハリの窓とは心理学などで自己分析などに使用される考え方の名前です。以下4つの面を窓に見立てて考える方法です。

  • 「自己も他者も認識している自分の面」
  • 「自己のみが認識している自分の面」
  • 「他者のみが認識している自分の面」
  • 「自己も他者も認識していない自分の面」
ジョハリの窓

この際に「自己のみが認識している自分の面」をさらけ出したり、「他者のみが認識している自分の面」を受け入れる事で、「自己も他者も認識していない自分の面」、すなわち未知の自分(自分の可能性)が新しく見えてくる、とされています。

この分析は自分1人ではできないので、周囲の人を巻き込んでやってみてください。きっと自分では思いもしなかった部分が他者に評価されていたり、自分で思っていた自分像が他者から見ると全く違って見えている事に気づけると思います。

では、次は実際にこのジョハリの窓を使って分析をしてみましょう。この記事を書く前に私自身がやってみた結果を、例として記載していきますので、参考にしてみてください。

まずは自己評価を羅列する

まずは自己評価です。今回はお絵描きに関する分析に使用するので、お絵描きに関する自己評価を挙げていきます。

  • 得意なこと
  • 苦手なこと
  • 好きなこと
  • 嫌いなこと
  • よく描くもの
  • あまり描かないもの
  • 影響を受けているもの
  • 影響を受けていないもの

などなど、絵に関することであれば何でもいいので、思いついたことを片っ端からリストアップしていきます。私の場合は以下のようなものが挙がりました。

  • 亜人耳が好き
  • フリフリが好き
  • 線画は苦手だけど、色塗りの出来を左右するので頑張る
  • 色塗りが得意
  • レイヤーや特殊効果などの各種技術に詳しい
  • 目の塗りが楽しい
  • 光の表現が好き
  • どう見せるか?というデザインが好き
  • 構図を考えるのが好き
  • ガッツリ3〜5カゲ位まで、全てのカゲ色を指定して書き込むのが好き
  • かっこいいとか、怖いとかより、可愛いのが好き
  • デフォルメは強めだが、立体感をしっかり意識した塗り方をしがち
  • アート的な表現にも興味はあるが、やったことはない
  • live2dみたいな新しい技術も積極的に使う
  • 健全絵も、えち絵も両方描きたい
  • 人に教えるのは下手

次に他者評価を羅列する

自己評価のリストアップが完了したら、次は他者評価をリストアップします。これまで活動してきた中での他者からの評価はもちろんのこと、この機会に周囲の家族や友人などに意見を聞いてみるのも非常にオススメです。

私の場合は、これまでの活動で他者評価が高かった絵の共通点や、逆に自分は頑張ったけど他者からの評価は低かった絵の共通点などを調べたり、過去に褒めてもらった事を思い出したり、家族や友人に私の絵の活動を第三者目線で見てどう感じているか? など聞いてみたりしました。その結果は以下です。

  • ケモナーなのでケモ耳描写にこだわりを感じる
  • 線画がすごく綺麗
  • いい意味で隙がない
  • 目がシンプルなのにとても可愛い
  • 背景や視線誘導など、絵の見せ方の幅が広い
  • カゲ色は全体で2〜3色を乗算で乗せて、2カゲくらい(多くて3カゲ)までの絵が評価が高い
  • 明暗差がしっかりついた逆光の絵の評価が高い
  • 可愛い
  • 色塗りが肉感的で生々しい
  • live2dみたいな使える人が少ない技術も使えて凄い
  • 人に教えるのが上手い。説明がわかりやすい。

自己評価と他者評価の差異を把握する

自己評価と他者評価のリストアップが完了したら、それらをジョハリの窓に当てはめて分類していきましょう。先述のとおり、以下4つに分類します。コピー用紙でも何でもいいので、実際に紙とペンで作業して図にした方が分かりやすくなると思います。

  • 「自己も他者も認識している自分の面」
  • 「自己のみが認識している自分の面」
  • 「他者のみが認識している自分の面」
  • 「自己も他者も認識していない自分の面」

というわけで分類してみたところ、私の場合は以下項目が自己評価と他者評価が一致していました。

  • ケモ耳、エルフ耳好き
  • 配色や視線誘導を意識した絵の編集作業が得意
  • 逆光みたいな光の表現をガッツリ使った絵が得意
  • 可愛い
  • live2dみたいな新しい技術も得意
  • 細部までこだわった絵を描く

「可愛い」や「ケモ耳、エルフ耳好き」などは私の作品傾向からも明らかなので、予想通りの結果ではあったのですが、「ケモ耳はともかくとして、エルフ耳のイメージはそんなに無い」という意見もあり、驚きました。その意見をくれた人曰く「エルフ耳が好きなのは知っているけれど、最近は結構2次創作(エルフ耳ではない)が多いし、あまりエルフ耳を描くイメージっていうのは薄れていると思う」とのことでした。

言われてからここ数年描いた絵を振り返ってみると、確かに以前に比べて二次創作(それもエルフ耳ではないキャラ)が多く、貰った意見の通りだな、という感じでした。一応、未公開の落書きなどではちょくちょく描いていたりしたのですが、作品として発表するもののエルフ耳率は確実に少なくなっていましたので、やはり主観と客観では違うことを実感しました。

続いて、自己評価には無かったり、自分ではそう思っていない部分では以下のような意見がありました。

  • 線画が得意
  • 塗りが肉感的
  • 人に教えるのが得意
  • 他人から見ると、そんなにフリフリのイメージが無い

これまた、結果を見て驚いたのですが、本人的には長年苦手意識を持っていた「線画」が他者から見ると「綺麗な線画」だそうです。個人的には「線画=強弱をつけてメリハリの効いた線を描くもの」みたいな固定観念を持っているのですが、私が普段描いているような「可愛い」系の絵なら、必ずしもそうではないようです。

実際のところ、理想とする塗りの方向性に「メリハリの効いた線画」が合わない気がする、と長年思いつつ「細い線で繋ぐだけなら時間をかければ何とかなる。完成時の見栄えも細い線のが合ってる気がするし」という理由で、色塗りのために線画作業を毎回頑張っていたところがあるので、この意見は意外であると同時にとても嬉しい物でした。「ぁ、あの苦行は無駄じゃなかったんだ!」という感覚です(笑

「人に教えるのが得意」というのは色々な方から言われたのですが、正直なところ私本人としては「人に教えるのが下手」だと長年思っているので、これも意外なところでした。性格上、相手と1:1で向き合って、相手の本質的な疑問点や問題点を話しながら深掘りするのは得意なのですが、いざそれをどう解決するかを伝える段階で、上手く要点をまとめられず、そのたびに「あぁ、人に教えるのが下手だなぁ……」という感覚に陥っています。

学生時代には塾講師や家庭教師のアルバイトをしたこともありますが、その際にも同じ感覚に陥って「私は絶対、教職だけにはならないようにしよう」と心に深く誓った記憶なんかもあります。そのくらい、人に教えるのは苦手意識がありますが、意に反して周囲からは「教えるのが上手だよねー」という評価になるので、これはまさしく「他者のみが認識している自分の面」なのだと思います。

あと意外だったところとして「フリフリ好き? そうなの?」という反応でした。

フリフリ好きに関してはもう絵を描き始める前の子供のころからずっと好きだったので、付き合いの長い家族などは知っているのですが、私の絵だけを知っている人達からは、あまりフリル好きというイメージは持ってもらっていなかったようです。つまり「好きだけど、そんなに描いてない」のかもしれません。もっとフリル描かねば(使命感

まとめ:結果をどう活かすか?

とまぁ、こんな感じでジョハリの窓を使用して分類をしてみると、自分の知らなかった自分が見えてきます。私の場合はこの分析を行う前の自己評価だと

「亜人耳とフリル、可愛いものが好きな絵描き」

でしたが、分析を行ってみると今時点では他者からは

「ケモ耳好きで、線画が綺麗で、新しい技術も使えて、教えるのが上手な可愛いもの絵描き」

でした。

このように、自分から見えている自分と、他人から見た自分は一致していないので、それを把握することで、これからの活動方針などに役立てる事ができます。

例えば私の場合、「エルフ耳やフリルがとっても好きなのに、他人からそう見えていないらしい。もっとエルフ耳やフリルを描いて、そのイメージを強めよう!」と、自分から見えている自分のイメージを他者に向けて開放していくことで、自己と他者の共通認識にしていったり。

「私は教えるのが下手だと思っているけれど、周囲からは上手だと言ってもらえる。なら、もっとこの力を有効活用しよう! 絵描きが増えれば世の中に供給される推しキャラの絵がもっと増えるよね!」と、自分では持っていなかった他者評価を受け入れることで、より自分自身の特性を活かした活動が行えるようになります。

絵に限らずですが、得意な事と、好きな事は必ずしも一致しているとは限りません。

ですが、苦手だけど好きな事を続けることで見えてくる世界があるならば、好きなわけではないけど得意な事を続ける事で見えてくる世界もあると思うのです。

私は20歳でお絵描きを始めるまで、全く絵が描けなかったので、間違いなく絵は「苦手な事」でした。ですが、「こんな可愛い絵を自分でも描きたい」という想いから(この記事執筆時点で9年と2か月)描き続けてきたところ、以前は見えなかった世界が沢山見えるようになりました。なので、「苦手だけど好きな事を続けることで見えてくる世界」は確実にあると断言できます。

「ここから次のステージに進むためにどうしたらいいか?」というのが最近の悩みだったのですが、今回紹介したジョハリの窓を用いた自己分析で、その方向性が定まったように思います。

私は表面上は人当たりが良くて、柔軟な方だと思いますが、根は非常に頑固なので、周りからいくら褒められても、その意見を素直に受け入れられずにいました。しかし、自己評価に固執している限りはもう成長は見込めない段階に来ているんだと思います。なので、すぐに変わる事は難しいと思うのですが、徐々に周囲の意見を取り入れながらより良い方向に成長していけるよう努力の方向性を考えながら、これからも頑張ろうと思います。

私と同じように、ある程度お絵描きを続けてきて、自分の努力の方向性に迷った方には、ジョハリの窓を用いた分析法は非常に役立つと思いますので、是非試してみてください。

他にもイラスト関係の記事を書いていたりするので、良ければご覧になってください。

ではでは、また次回の記事でお会いしましょう~