絵を描きたいのに、何も描けない時に試してほしい方法3選――やる気のメカニズムの最適解は?

こんにちは、「美少女に生まれたい人生だった……」が辞世の句の子猫2000です。近況としては、台風の影響でサバゲーが延期になり意気消沈しています。 こんなのもう絵を描くしか無いよね!

ということで、今回は、絵を描くモチベーションはあるのに、描くものが思いつかない場合の話をしようと思います。「やる気」というフワフワした物はいったいどこから現れるのか、科学的な話も交えて紹介します。

「何か描きたい!! ……でも何も思いつかない(´・ω・`)」と言う方は、ゆっくり見て行ってください。

何か描きたいんだけど何も思いつかない

「お絵描きしたい!!でも何も描きたいものが思いつかない……」

あなたは、こんな経験は無いでしょうか?

ちなみに、私は結構頻繁にありました。

仕事で絵を描いてる方なら描くモノは指定されるでしょうから、このページを見ている方は恐らく趣味で絵を描いている方でしょう。「そもそも趣味で描いてるんだから、無理して描かなくても良いじゃない」なんて声も聞こえてきそうですが、本人的には何か描きたいという意欲は溢れているので、もどかしさを味わっていたりするんですよね。

最近はAIもイラストを作れる時代になってきて、「お手軽にあんなハイクオリティの絵が作れてしまうなら、私がわざわざ絵を描く意味って一体……」と落ち込んでしまう方も多いですが、絵を描く楽しさ、表現する楽しさ、というのはAIが発達してもまだまだ残ると思います。(それについては別の記事で書いているので割愛します)

以前絵を描くのに必要なスキルで書いたように、絵は描いたら描いただけレベルアップしますので、そのモチベーションは是非活かしたいところですよね。ですが、実際のところ常に描きたいものがあるかというと、そうとも限らなかったりします。

「模写とかすれば良いじゃん」と言う意見もごもっともなのですが、この場合それは求めている内容と違うわけです。あくまで作品として何か描き上げたい、そんな時に役立つ方法を紹介します。

方法1:インプットをしてみる

まずはオーソドックスな方法です。描きたい(アウトプットしたい)物が無い場合、インプットが足りていない可能性があります。他の作品から刺激を受けたことで「あ、これ描きたい」や「この場面で違う展開になっていたら」のようなアイデアが沸くのは、よくある事なので、単純にインプットを増やしてみましょう。

この際、ただボーっと見るのも楽しいものですが、絵描きとしての目線で対象作品を研究するつもりで見ると絵のアイデアが湧いてきやすいです。例えば「このシーン、なんでこの構図で描いているんだろう?」だったり、「この演出の仕方もいいけれど、私なら○○をより主題にしたいので、別の演出をしたいな」だったり、考えながら見るのです。

過去に見た作品でも、こういった視点で改めて見直してみると、新しい発見があったりして、それはそれで別の楽しさが味わえます。

イラストSNSで他人の絵を見たり、録画しておいたアニメを見たり、ペットと戯れたり……方法は何でもokです。大事なのは自分の感情に波を起こすことです。

私はよくアニメを見ているときに創作意欲を掻き立てられるので、何か描きたいけど何も思いつかない場合は、とりあえずアニメを見ます。

(話が飛びますが、最近だと「妹さえいればいい。」というアニメが、とても創作意欲を刺激してくれました。重度の妹萌えなのに、自分に本当の妹がいない事に憤りラノベ作家となった若手作家の話です。後日、原作小説のレビュー記事も上げたので、アニメより本で読みたい派の人も是非どうぞ!)

「もっと上達に密接に結びつく内容が良い!」という向上心のある方は「可愛いポーズ」や「かっこいいポーズ」を検索して、出てきた写真や絵を参考に絵を描くことをオススメします。(3Dデッサン人形を使ったりするのもオススメですが、何も考えず上から線をなぞるだけだと、知識としてのインプットはほぼ皆無なのでご注意ください。)

先述の妄想を膨らませる方法に比べて、最初からお手本となるポーズがあるので、初心者でも取り組みやすいメリットがありますし、具体的な資料が最初から用意できた状態で描けるので、ポージングの引き出しを増やすことにも繋がります。

注意点として、絵柄にもよりますが一般的にイラストの体格や頭身はリアルとは違うので、写真を元に絵を描く場合その辺りのデフォルメが必要になってきます。練習としては効果的ですが、いきなり難しい方法に挑戦して挫折してしまっても勿体無いので、最初はアニメや漫画、イラストなどの”既にデフォルメされた絵”を参考にすることをオススメします。

方法2:友達に聞いてみる

次に他人の力を借りる手段です。描きたいものが思いつかないなら友達に聞いちゃいましょう!

自分が何か絵を描きたいと思っているんだけれど何を描こうか思いつかないのなら、他人の意見を聞いてみるのも効果的です。べつに一方的に聞き手に回っている必要は無く、そのままアニメ談義だったり、「可愛いとは?」みたいな議論に発展しても楽しいものです。

相手が絵を描かない方の場合、「○○のこういうところ見てみたいんだけど、自分は絵を描けないしなぁ……」なんて想いを隠し持っている事が多々ありますので、自分だけだと思いつかなかった絵のアイデアを教えてもらえたりします。絵描き同士だけでなく、絵を描かない友達相手にも積極的に話を聞いてみましょう!

そうやって意見を交わしているうちに一人で考えていたときには気づかなかった部分に気づいたりして、新しい推しキャラに気づく可能性もあります。そこまでくれば、もう後は自分の気持ちをイラストや漫画にぶつけるだけです。

――もちろん、良い絵を描くための参考資料集めは忘れずに。

方法3:とりあえず手を動かしてみる

最後に本命の科学的手段です。

元々はネットで知った手段ですが、実際にやってみて個人的には非常に効果的だと感じた手法です。元々の手段は「コピー用紙を30枚用紙し、ひたすら丸や四角、三角、直線などを描きまくる」というものです。

――でも、私は正直30枚描けた事がないです。

理由は単純で、途中で横道にそれるからです。

そして、この手法の目的はそこにあります。

ペンを持って実際に手を動かしていると、最初は図形を綺麗に描こうとしているのですが、気づいたときには落書きが始まっています。「この丸はメロンパンになりそう」だとか「あ、この四角のここにコレを追加したら……」という感じです。

もちろん無理して落書きする必要なんてありません。30枚すべてひたすら図形を描けたなら、それはそれで凄いことです。それだけの集中力をあなたが持っていて、直線や曲線を描くのがそれだけ上手くなったということでもあるからです。絵の構成成分は結局のところ「曲線と直線」の2つだけなので、30枚描ききったその行動は無駄にはなりません。

この手段は人間のやる気の特性を利用した上手い方法だと思います。「やる気は行動を始めてから増幅する」という特性があるからです。

昔は「脳が指令を出してから体が動く」と考えられていましたが、色々な実験を通して近年では「体が動いてから脳が追随する」と言われています。例えば、カリフォルニア大学の研究で「○○しよう」と思う脳の意識信号よりも、その動作をするために脳が出す信号のほうが、平均0.35秒早いという結果があります。

脳内の無意識的な過程が意志的な動作を真に開始させるものであって、それゆえに自由意志は動作の開始には役割を果たしていない、ということを示唆した

(引用:ベンジャミン・リベット

ちょっと難しく書かれていますが、要は「人は行動しようと思う前に、既に行動している」という実験結果がでているわけで、「やる気」は行動してからついてくる物なのです。

ここ大事なので、もう一度書きますね。

「やる気」は行動してからついてくる物です。

つまり、「絵を描きたいけど、何を描くか思いつかないなぁ~」とペンを持って固まっているよりも、とりあえず何でもいいから描き始めた方が、脳が活性化してくれるのです。

だから、この「丸や四角、三角、直線をひたすら描く」という手法は効果があるのでしょう。

また、この方法は「無意識に絵のハードルを下げる」という理由も考えられます。

「絵を描こう!」と意気込んでいる時こそ、無意識のうちに「クオリティの高いものを作ろう」と思い込んでいる可能性が高いです。しかし、絵の上達は数ヶ月~数年単位の長いスパンで起こるものなので、ちょっと描こうとしては納得がいかなくてやる気を失う、ということが容易に起こります。

あまり難しく考えすぎずに、まずはペンを動かし始めてみましょう。

「ちょっと5分だけペンを動かそう」

これだけで充分です。タイマーで5分セットして、ペンを走らせる。

何も思いつかないなら、とりあえず丸や四角、三角を描いてみる。

他の何かが描きたくなったら上手いか下手かは気にせずに、とりあえず描いてみる。

タイマーが鳴った時に、まだ続けたければそのまま描き続けてしまいましょう!

そしてペンが乗ってきたらなんとなくキャラクターを描き始めます。

大きく描こうとするとバランスが取りづらくなるので、小さめに色々なポーズを書いてみましょう。ここでは無理して綺麗に描く必要はありません。あくまで「アイデア出しをしているんだ」という意識で気軽に行いましょう

私は構図案を考えるときなどによく1辺が3~4cmほどの小さい四角形を描いて、その中をキャンバスに見立ててラフを描きます。小さいので自然と全体視できますし、不要な「細部の描き込みすぎ」防止にも繋がります。1つ辺りにかける時間も10分ほどで、失敗してもそれほど気になりません。

そして、気に入ったポーズなどがあれば、こんどは別の紙にそのポーズを無理の無い大きさで描いてみてください。恐らく小さく描いた段階では気にならなかった部分にも、気になる部分が出てくると思います。この段階で初めて資料を探し、清書に移ってください。

まとめ

最後にこの記事で書いたことをまとめます。

  • インプット不足の可能性があるので、色々な作品に触れたりして自身の感情に波を立ててみる。
  • 自分一人で考えこまずに、友人と話してみる。なんなら、絵のアイデアを教えてもらうのもアリ。
  • 「人間は行動してからやる気が出てくる」ので、とりあえず図形でも何でもいいから描いてみる。

絵を描きたいというモチベーションはあるのに、何を描いたらいいのか思いつかない場合の対策はどうでしたか? 別の記事でも語っていますが、絵は描いた分だけ関連スキルが上達するオールスキル制ゲームのような物です。今あなたがモチベーションに溢れているのなら、是非その気持ちを成長に繋げつつ、楽しくお絵描きしてみてください!

もしこの記事の内容が面白かったり、役に立った、と言う方は、他にもお絵描き記事を書いているので、そちらも覗いてみてください。お絵描きに関するコラムや、画像加工の紹介、メイキング、など雑多に色々と書いています。

また関連する内容として「凡人でも目標を達成できる! 努力継続のための5ステップ:「目標達成できないイメージ」も大事!?」という記事も書いています。お絵描きは長い長いマラソン競技のようなもの。上達のためには継続的に取り組む必要がありますが、科学的な観点を交えて目標へ向けて「継続」する手法について解説しています。

それでは、また別の記事でお会いしましょう~!