初心者2人で行く無謀釣行Part2_2020/11/8 実釣編_有明西ふ頭公園

前回は人生初の虫餌ということで、大変フィーバーしたおかげで、釣りに入る部分まで書ききれませんでした。虫の苦手な子猫2000です。

というわけで、パート2です。釣りを始めていきましょう。

前回までのあらすじ

アニメ放課後ていぼう日誌の影響を受け釣り熱の高まった子猫2000は、同じく釣り初心者の友人S氏と池袋の釣具屋へ向かった。うららかな日曜の午後、釣具を買って解散かと思いきや、友人S氏の策略により、2人は急遽釣りに行くことになる。オタクの聖地、東京ビッグサイトに悲鳴を響かせながらも、何とか針に虫餌をつけることに成功した子猫2000。いざ、美味しいお魚を求めて、釣りが始まる……

最初はミニクロダイちゃん

無事にアオイソメを針に付ける事に成功した子猫2000は、意気揚々と釣りを開始しました。隣では同じく釣り初心者の友人S氏が一足早くちょい投げ釣りを開始しています。

ゲームなんかだと仕掛けを投入してすぐに魚が食べるイメージがありますが、実際の釣りで入れ食い状態はそう多くありません。この日も例外ではなく、仕掛けを投入してから暫くは、のどかな時間が流れました。マヅメ時といって、一番釣れる時間帯は明け方と夕方の2時間ほどですが、二人が釣りを始めたのは日曜の昼下がり。魚の活性もそれほど高くない時間帯ですので、当然の結果でしょう。

それでも時々、「ん? これはアタリか? それとも波か?」程度の揺れがウキにあり、取り出してみるとアオイソメが少し齧られていたなどの反応はありました。同じく、隣でちょい投げしている友人S氏の方も餌が取られたり、「ん? アタリ?」という反応が起きていました。

ベテラン釣り師なんかだとアワセられるのかもしれませんが、2人とも初心者なので、明確なアタリでないと、アタリに気づかずに放置しがちです。

数十分に1回程度のペースで餌を取り換えつつ、目の前にウキを浮かべて眺める穏やかな時間が流れました。

あまりにも反応が無いので、ウキを見続けるのにも飽きてきて、「いい景色だなぁー」などと風景を眺めていた時に、隣の友人S氏から救援要請が飛んできました。

友人S「なんじゃこりゃ……ほどけない……」

どうせウキを見ていなかったことですし、視線を遠景から隣へ移すと……友人S氏のリール周辺で道糸が盛大にこんがらがっていました。

子猫2000「HAHAHA、何をやっているのさ、ちょっと貸してみ~」

などと大して経験の差が無いのに先輩風を吹かせて、友人Sの竿を受け取ろうとしたとき……ウキが沈んでいました(過去形)

子猫2000「!?」

慌てて延べ竿を煽ってアワセようとしましたが、時すでに遅し……針が魚にかかる前に逃げられてしまいました。

子猫2000「なんでこのタイミングで来るんだよぉ~~~」

などと恨みがましく海を見つめますが、魚はこちらの都合で動いていません。さっきまで反応が無かったからと気を抜いていた私が悪いです。

本日初のアタリを逃してしまったことで意気消沈しつつも、アタリがあったという事はこの後またアタリが来る可能性がある、と思って密かにリベンジを誓います。とりあえず友人S氏の竿と自分の延べ竿を交換し、リールの絡まった糸をほどく作業に入りました。

……

…………

………………

自分も初心者のくせに先輩風吹かせて安請け合いしましたが、想像以上に絡まっていて完全にほどくのに20分くらいかかりました。リールを触ったのは中学生くらいが最後なので、改めて延べ竿のシンプル is best を痛感しました。糸絡みしないって素晴らしい……

友人S「それにしても潮流れるの早いなー」

私がリールと悪戦苦闘している間、延べ竿でウキを浮かべていた友人が、竿を交換しつつ言いました。そう、釣り開始時よりも潮の流れが速くなっていたのです。

私の脳内には「潮の流れが速いと魚が釣れやすくなる」というネットで得た知識がフラッシュバックしていました。これは良い兆候なのではないか?

そそくさと仕掛けを投入し、今度はアタリを見逃すまいと、しっかりウキを凝視します。延べ竿なので、目の前に仕掛けを投入しているのですが、潮の流れが速いので、1分とかからずに左から右へとウキが動いていきます。流れきったら、再投入を繰り返します。

さっきアタリがあったということは、ウキ下(ウキから針までの深さ)はこのままでも魚がいるはず……

そう信じて、十数分に渡って仕掛けの再投入を続けました。

すると、遂にウキがスゥーーーっと沈みました。波を被ったとか、そんな動きではありません。間違いなくアタリです。

子猫2000「ぉおっ!? キタっ!!」

友人S「ぉ? なになに?」

浮き釣りをしていて一番テンションが上がるのはこのウキが沈む瞬間なので、思わずちょっとオーバー気味にアワセてしまいました。手首を動かす程度で良いとネットで見たはずなのに、無意識に腕ごと振り上げていました

しかし幸運にもそれでバラすことは無く、無事に針掛かりしたようで、竿に小気味良い振動と重みが伝わってきました。4.5mの延べ竿なので実際の引きよりも手元に伝わる引きが強めになりますが、前回の釣行時と同じような重さ……これは小物だと分かりました。

相手が小物ということもあり、延べ竿なので上げようと思えばすぐにでも引き上げられるのですが、あえて20秒ほど引きを楽しんだあと、ゆっくりと引き上げました。

目の前に現れたのは、前回釣行時にも釣った小型のクロダイでした。メジャーは持っていなかったのですが、目測でおよそ12cmほど。

ボウズ逃れでご満悦の子猫2000。この日の初釣果は小さなクロダイでした。

子猫2000「S氏! S氏! 写真撮って~!」

友人S「ぇ……ちょ、ちょっとまって……」

嬉しさのあまり、相手が釣りをしていようとお構いなしに撮影要求するという無茶ぶりを犯してしまいましたが、自分の竿を片付けていそいそとスマホを取り出し撮影してくれた友人S氏。本当にありがとうございました。次からは自分で撮ります(戒め

特に針を飲み込んだりもしていなかったため「もっと大きくなって帰ってこいよ」と心の中で念じながら、即リリースしました。

逃した魚は大きい

このあと再び仕掛けを投入して、2匹目を狙いますが、中々アタリが来ません。

隣の家族釣れがサッパや、よく分からない25cmクラスの魚を釣り上げているのを眺めて、「あの魚なんだろう? 美味しいかな?」などと考えつつ、隣で釣れるならこっちも釣れないかなぁー、とウキを凝視します。

ちなみによく分からない25cmクラスの魚は家に帰ってから調べたところコノシロ(コハダ)でした。”コノシロ”って言われると「ん?」ってなりますが、”コハダ”って言われると「あぁー寿司屋のネタにあるアレね!」となりますよね!

……っく、やはり美味しい魚だったか、私も釣りたかったぞ、ぐぬぬ。

……

…………

………………

どのくらい経ったでしょうか?

いつのまにか潮の流れも緩くなりつつありました。

「これはダメかもなぁ……まぁ1匹は釣れたから良いか」などと悲観的になりつつも、先ほどの教訓を生かしウキは凝視し続けていた子猫2000に、本日2回目の当たりが来ます。

今度は先ほどのアタリよりも素早く、スッと一瞬でウキが沈みました。

間髪入れずに竿を軽く煽ってアワセを入れます。

「今度は煽りすぎず、冷静に丁度いいアワセが出来たな……」などと自己評価していたら……

キィィィン、ギギギギギ!!

と私の延べ竿が聞いたこともない音を出して突然90度に曲がるではないですか!?

水深20cmくらいにあったはずのウキが一瞬のうちに水深1mほどまで沈みました。

更に物凄い勢いで左へ向かって糸が走ります。

子猫2000「……っあ!? っえ!???」

小物狙いだった私は、想定外の引きに慌てました。

逃げられる前に早く上げなきゃ!? と焦って竿を引き上げようとします。

その瞬間……

プツッ

と気の抜けた音を出してハリス(針側の釣り糸)が切れました。

子猫2000「あ……」

後に残されたのは、先ほどまでの重みが嘘のように軽い延べ竿と、茫然と立ち尽くす私のみ……

この間、実にたった2秒。

子猫2000「うわぁぁぁぁぁ、失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した……」

友人S「なんかすごい音したね?」

仕掛けを結びなおしていた友人Sがこちらを見上げて聞いてきます。仕掛けを結びなおすために海の方を見ていなかった友人Sにも私の延べ竿の悲鳴が聞こえていたようです。そりゃそうだよ、あんな音聞いたことないもん。

その日の仕掛けは道糸が3号のナイロン、ハリスが1.2号のフロロカーボン、チヌ針1号、でした。ネット知識によれば、約4倍のポンド換算に耐えるそうなので、1.2号だと2.17Kgか……そう考えると意外と脆いのかな? って気もしますが、今回に限っては慌てて竿を振り上げてしまったのが敗因だと信じたいです。

竿の角度が90度になるような状態が一番効率良く竿の性能を引き出せるそうなので、慌てて引き上げようとせずに、竿を水平に持って90度をキープしたまま魚が弱るのを待てば良かったんじゃないか? などなど……今となっては意味のないことですが、ついつい考えてしまいます。

まぁ、まずは大物が掛かっても平常心を保てる「冷静さ」が必要ですね(苦笑

釣りにいった有明西ふ頭公園は、シーバス(スズキ)や、カレイが有名な釣り場らしいので、あれは大きなスズキだったんじゃないかと思っています。いや、スズキだ。間違いない(確信

「スズキなら美味しい晩御飯になったのに……ぐぬぬ、逃した魚は大きいとはこのことか……」とその後数日、このことを引きづりました。

夕マヅメ到来、魚の群れが回ってくる

逃した大物の事が頭を離れないまま、釣りを続けます。

段々と薄暗くなってきて、

子猫2000「夕日が綺麗だなぁー」

友人S「ほんとそれなぁ~」

などと非日常感を堪能したのも束の間、17時頃にはもうだいぶ暗くなりました。

幸いにも、たまたま陣取った場所のすぐ後ろに街灯があり、日が沈んでも真っ暗まではいかず、多少明るい感じでしたので、釣りを続行しました。

そしてついに、釣りたかった魚が釣れます!

スッと素早く沈んだ浮きにアワセを入れると、軽いビビビッとした引きが手に伝わりました。10秒ほど引きを楽しんでから上げてみるとそこにいたのは……

15cmサイズの可愛いアジでした。

子猫2000「いやぁ~、待ってたよぉ~~~↑↑」

そうです、私は美味しいお魚が釣りたかったのです。

堤防で狙える美味しいお魚と言えば、やはりアジ!

みんな大好きアジ!!

釣った時は暗くてよく分かりませんでしたが、家に持ち帰ってみたところ、マアジでした。しかも黄アジです。ウマウマ↑↑

水面下にもイワシ? と思われる群れが泳いでいたり、隣でイワシが釣れていたり、反対側のちょっと離れたところでアジが釣れていたり、まさに夕マヅメ到来といった感じです。

釣ったアジをとりあえず水汲みバケツに投入し、2匹目を狙って仕掛けを再投入します。

……

…………

………………

( ^ω^)「釣れねぇ……」

……

…………

………………

( ^ω^)「ていうか暗くてウキが見えねぇ……」

……

…………

………………

子猫2000「うん、ウキ見えないし、私片付けるわ……」

友人S「あ、じゃあ俺も片付けるよ。もうちょっとだけやらせて……」

子猫2000「気にしないで、気にしないで。なんならもっと釣ってていいよ」

友人S「いや相方が片付けるのに俺だけ釣り続けるのも悪いし」

子猫2000「私ちょっとコンビニで氷買ってくるから、続けてて~」

友人S氏よ、なんだお前、気を使いすぎだろ……もっと釣り続けていいんだぞ、そもそも電気ウキを買ったのに、なぜか普通のウキで仕掛けを作った子猫2000の自業自得なんだから。(勇者よ、装備品は装備しないと意味がないぞ)

やたら気配り上手な友人S氏をその場に残し、徒歩5分の東京ビッグサイト内のセブンイレブンへ向かいました。目的は氷です。そう、アジを「お持ち帰り~//」するために。

本日2回目の修羅場

氷を買ってきたら、することは唯一つ。

アジを絞めます。

普段何気なく肉や魚をスーパーで買ってきては食べている我々ですが、どれも元は生き物です。釣りは現代人が忘れがちな、命を奪って美味しく食べるという感覚を痛烈に突き付けてきます。

なお、私は血が苦手です。

それもちょっと苦手とかではなく、大の苦手です。

女子高生がよくやる「わたし~、血とか苦手なんだ~(キャピ」という可愛さアピールではありません。ガチで血が苦手なのです

健康診断の採血で自分の血を見ると気分が悪くなるので、目を瞑って血を取り終わるのを祈る系もやしっ子です。最近は少し耐性ついてきた気がしますが、映画とかのグロシーンも苦手です。なんなら昔は有名ゲーム「モンスターハンター」の低クオリティな出血エフェクトですらダメでした。

――しかし、目の前のアジは今もバケツの中を元気に泳いでいます。

美味しく食べるためには自分の手で絞めなくてはいけません。

……大丈夫、やれる。

…………大丈夫、虫エサだって克服できたんだ。

………………大丈夫、落ち着いて手際よく締めるんだ。長引けば魚が苦しむだけだ。

と半ば自己暗示をかけつつ、意を決して昼に上州屋で買ったスライド式のナイフを取り出します。

まずはバケツからアジを捕まえようとします。

……

…………

………………

4~5回逃げられました。表面がヌメヌメしているし、すばしっこいので、狭いバケツの中でも意外と捕まえるのが難しいです。

……取り出したらエラにナイフを突き刺します。刺した瞬間にアジが暴れて、取り落としてしまいました。サイズが小さいので、思ったほど血は出ませんでした。

……

拾ってひっくり返し、反対側のエラにもナイフを刺します。そのまま首あたりの背骨ごと断ち切ります。

……勢いあまって頭ごと切り落としてしまいました。背骨を切った瞬間にアジがブルルっと痙攣を起こしました。上半分だけ切って、頭にくっつけたまま内蔵を引っ張りだすはずだったのに失敗です。「あぁ、自分の手で絞めたんだな」と何とも言えない感覚に襲われますが、ここまできたらしっかり最後まで処理して美味しく食べようと気持ちを奮い立たせて作業を続けます。切り落とした頭と目が合ってしまって数秒フリーズしたのは内緒です。

続いて肛門からお腹を切り開いて、内蔵を取り出したら、海水につけながら指で洗って取り損なった内蔵や血液を落とします。ここまでくるとスーパーなんかでも見かける形になって、「生き物」から「食べ物」に変わった感じがし、心臓のバクバクも落ち着いてきました。そのままビニール袋に入れて、タオルで包んでクーラーボックスへIN。

……

…………今日一日で大分成長した気がします。虫エサ克服に、魚の解体、人生初体験が2つもありました。

その後、友人S氏も片付けが終わり帰路につきました。

友人S「いやぁーもっと早く帰るつもりだったのに、長居しちゃったよ」

とのこと。残念ながらボウズだったのですが、ちょい投げは私もよく分からないため特にアドバイスらしいことも出来ず……「ウキ釣りなら、少し教えられるよ!!」と心の中でウキ釣りを猛烈アピールしていました。

「来週も来る?」なんて話をしつつ、互いにリベンジを誓ってその日は解散しました。

ところで、そのアジお幾ら万円?

ちなみにセブンイレブンで買ってきた氷のお値段は……

氷:203円

なんなら他の費用も見てみますと……

移動費:1609円

アオイソメ:594円

トータル:2406円

たっけぇ小アジだなーHAHAHA

……二日後に美味しくアジフライとして頂きました。アジフライも勿論美味しかったのですが、3枚おろしで出た骨を素揚げして塩を振った骨せんべいが癖になる美味しさだったので、次回はもっと沢山釣ることを心に誓いました。あれ、めっちゃ美味しいです。お酒のつまみにすごくいいと思います。(そんなにお酒飲まないけど)

ていうか1日遊んで費用これしかかからないって、ずいぶんとお財布に優しいですね。サバゲーなんて行った日にはご飯会含めてとは言え、1諭吉くらい吹っ飛んでいくのに(笑)

これならもっと頻度上げて釣りに行ってもいいかもしれない……と密かにガッツポーズを決める私なのでした。

「次は大物が掛かっても冷静に対処するぞ……」(自己暗示)

そして後日アジング用の釣り具を買いましただってアジ美味しいんだもの(真顔

友人達にも釣りを布教してワイワイ釣りにいった後日談はこちら「2020/11/21 第1回ていぼう部_有明西ふ頭公園_Part1」で読めます。

ところで筆者の私は料理も趣味だったりするのですが、釣り人の間でまことしやかに囁かれる「東京湾の魚は臭くて食えない」論を、私の持つすべての料理スキル&知識で迎え撃った記事もあります。釣った魚をせっかくだから美味しく食べたいという方は「[本当に臭い?]東京湾奥のクロダイを食べてみた。具体的な下処理と共に紹介。」も是非読んでみてください。